この会社を始めた理由。それは単純に、家族を明るくしたかったからです。
介護は、大変ですよね。これはまぎれもない事実です。夜中に何度も起こされる。食事はボロボロ落としてしまう。排泄の処理は臭い。さっき言ったことができていない。人によって感じるレベルはあっても、介護の経験がある方はどこかで共感してもらえるところはあると思います。おくむら家も、結構それで滅入っていて。祖母の介護で家の中がとっても暗くなり、いつもイライラ。家に帰るのが嫌になるくらいの時期がありました。
介護を受ける人に片麻痺や認知障害など身体の状態が様々あるように、介護をする人にも、いろんな人がいます。うちのお父さんのように介助することはするけどすぐに腹を立てる人、お母さんのように優しいけどちょっと甘い人、私のように言うだけでなかなかしない(できない)人。。介護をする人も、される人も「人間」なんだから、当然ながら行動や想いのすれ違いはでてきます。
同じ"家族"でさえ、腹が立ったり、いがみあったりするんだから、そんな状況の中で他人に合わせて他人の介護のお世話をする介護職の方々はもっと気の疲れるものと想像できます。
介護は大変、なのは当然だと私は思います。だって、介護はそもそも「自分とは違う人に合わせてあげること」「思うようにいかないもの」なんですから。
でも、本当にしんどくて辛いことは、介護をひとりで背負ってしまうこと。
家族の前に、一人の人間として、「自分の時間がもてない」「寝れない」「外出できない」、こんな制限が長く続いたら、気が滅入ることは自然なことだと思います。今思うと、両親のイライラもここからきてたんじゃないかな、と感じます。少なくとも私たち「おくむら家」のみんなはごくごく一般的な人間だと思うので、「介護は献身的でなければならい」などという高徳のある考えを24時間365日ずっと持ち合わせることなんて不可能でした。
こんな介護は、ひとりでは続けられない。だからこそ自分(介護する人)以外に誰かの思いやりや、誰かの支えが大切なんだと思っています。
ありがとう
この一言だけで介護する人が救われるんですよね。おくむら家のみんなは、いつからかこの言葉で支えあっていこう、乗り切っていこうと思ってやってきました。思いやりを持ち合っていける家族だと思っています。
結局、介護は順番、なんですから。
おくむら家のみんなでやっていけることとして、インターネットで介護用品を扱うお店「介護のおくむらさん。」を出店することにしました。家族の介護を通じてみえてきた、今まで意識することもあまりなかったおくむら家の結束力を、何かの活動に活かしたいと思ったからです。そういう活動が、家の中を明るくすると思えたからです。
介護を通じて素人なりにも得た知識や体験をみんなにも知ってほしいし、おくむら家の皆もそろそろそういう風に前むきに考えるようなった頃でもあります。
このお店は、2011年5月に「みんなの介護用品専門店」という名称でリニューアルします。介護用品のお店や介護施設をみんなで運営していきながら、ごく普通のこのおくむら家での介護体験を日本全国で同じような状況にあるご家庭の方々と共有することができ、一緒に「介護」に順番に向き合っていくことができれば嬉しいです。
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